雇用調整助成金、申請できるのは会社?個人?

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、やむを得ず従業員に対して休業を命じなければならない会社・個人事業主が増えています。そこで厚生労働省は、会社・個人事業主が支払う休業手当額の一定割合を政府が肩代わりする制度雇用調整助成金の特例措置を実施しています。

雇用調整助成金とは厚生労働省の管轄で新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定(労働者と会社で取り交わされる約束事を書面契約した協定のこと)に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

雇用調整助成金は、従業員に直接支給されるものではありません。会社側が従業員に支給する休業手当の原資になるため、雇用を維持しやすくなります。

従業員の解雇はなんとしてでも避けたい事業者にとって、是非とも活用したい助成金制度ですが、説明がわかりにくです。

わかりやすさを心掛けながら、従業員に対する一時的な休業を検討している会社・個人事業主の方々に向けて、雇用調整助成金についてご紹介いたします。

対象事業者

雇用保険の適用事業主で新型コロナウイルスの影響を受ける会社・個人事業主(全業種)

例えば、以下のような経済上の理由で休業などを行った事業者が助成対象となります。

・取引先が新型コロナウイルスの影響を受けたため、受注量が減り、事業活動が縮小した

・行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行い、事業活動が縮小した

・市民が外出を控えたため、客数が減少した

・風評被害による観光客の減少で、客数が減少した

・従業員が新型コロナウイルスに罹り、自主的に事業所を閉鎖したため事業活動が縮小した

緊急対応期間においては、事業所設置後1年未満の事業主も助成対象となります。

同じく緊急対応期間においては、風俗関連事業者も限定なく助成対象となります。

緊急対応期間

  2020年4月1日~2020年9月30日まで

※現在2020年9月30日までの期間で助成金を支給しているため、雇用調整助成金の特例措置の期限を延長すべきという考えも国会であるようです。厚生労働省は、特別措置を12月末まで延長する案を軸に、財源の確保を含め検討するとしています。

今後、期間に変更等ありましたら、お知らせしたいと思います。

通常時新型コロナ特例措置
対象事業者雇用保険が適用される会社・個人事業主雇用保険適用で新型コロナウイルスの影響を受ける会社・個人事業主
経営状況最近3ヵ月の売上高などが前年同期比10%以上減少最近1ヵ月の売上高などが前年同期比5%以上減少
対象従業員雇用保険に加入している被保険者被保険者でなくても可(学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外は緊急雇用安定助成金)
助成率中小企業:2/3中小企業:4/5
大企業:1/2大企業:2/3
助成額の上限日額8,300円1万5.000円
計画届事前提出提出不要
休業規模要件中小企業:1/20中小企業:1/40
大企業:1/15大企業:1/30
残業相殺について残業相殺残業相殺を停止
教育訓練が必要な被保険者に対する教育訓練助成率は中小企業:2/3 大企業:1/2 
加算額は1,200円
助成率は中小企業:4/5 大企業:2/3(解雇等を行わない場合は中小企業:10/10 大企業:3/4)
加算額は中小:2,400円 大企業:1,800円

助成率は、企業の規模や、事業主が雇用を維持したか否かによって変わります。

中小企業とは

・小売業(飲食店を含む):資本金5,000万円以下または従業員50人以下

・サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下

・その他の業種:資本金3億円以下または従業員300人以下

支給限度日数

本助成金の支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年9月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることができます。

支給までの流れ

休業等計画・労使協定 休業等の具体的な内容を検討します。労使間で休業にかかる協定を締結します

休業等の実施 計画届に基づいて休業等を実施します※緊急対応期間中の特例として計画届の提出は不要です。

支給申請 休業等の実績に基づき、支給申請を行う※支給対象期間ごとに申請します。申請期間は支給対象期間の末日の翌日から2か月以内です。※支給対象期間の初日が6/30以前の休業等について申請するときは、申請期限は令和2年9月30日です

労働局の審査 支給申請の内容について労働局で審査が行われます。

支給決定 支給決定額が振り込まれます

休業の場合の申請様式と添付書類の一覧

小規模事業主以外(従業員が概ね20人超の中小企業・大企業)

書類名備考
雇用調整事業所の事業活動の現状に関する申出書※初回届出時のみ新型コロナウイルス感染症の影響による事業縮小の状況を記載します。
添付書類
月ごとの売上がわかる売上簿や収入簿が必要
支給要件確認申立書役員等一覧計画届に役員名簿を添付した場合、別紙の役員等一覧は不要
休業・教育訓練実績一覧表
助成額算定書自動計算機能付き様式手書き(PDF)版
(休業等)支給申請書自動計算機能付き様式手書き(PDF版)※所得税徴収高計算書を用いる場合は、当該計算書を添付
休業協定書※初回届出時のみ
労働組合等との確約書等でも代替可
添付書類
(労働組合あり)組合員名簿
(労働組合なし)労働者代表選任書※実績一覧表(様式特第9号または12号)の署名または記名・押印があれば省略可
事業所の規模を確認する書類※初回届出時のみ・既存の労働者名簿および役員名簿でも可
・中小企業の人数要件を満たしている場合、資本額を示す書類は不要
労働・休日の実績に関する書類出勤簿、タイムカードの写しなど(手書きのシフト表などでも可)(必要に応じ、就業規則または労働条件通知書の写しなど)
休業手当・賃金の実績に関する書類賃金台帳の写しなど(給与明細の写しなどでも可)(必要に応じ、給与規定または労働条件通知書の写しなど)

小規模事業主(従業員が概ね20人以下の事業主)

※申請様式一式 手書き作成用パソコン作成用

書類名備考
雇用調整助成金支給申請書
休業実績一覧表
支給要件確認申立書
比較した月の売上がわかる書類※初回届出時のみ売上簿、レジの月次集計、収入簿等
休業させた日や時間がわかる書類タイムカード、出勤簿、シフト表等
休業手当や賃金額のわかる書類給与明細の写しや控え、賃金台帳等
役員名簿(役員等が居る場合)(性別・生年月日が入っているもの)事業主本人以外に役員がいない場合および個人事業主の場合は、提出不要

詳しくはこちら☞(厚生労働省

error: Content is protected !!